Doriブログ

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不適切な証拠資料引用を防ぐ資料集の作り方(タクシー論題)

論題が発表されたので、具体的に資料集の作り方によって、少しでも正しく証拠資料を使うための資料集作りのポイントをまとめました。

 

資料集を作ろう

まず、みなさん資料集作ってますかーという話から。

資料を発見してPDFの形式や印刷した状態は、最終的に証拠資料を正しく使うためには良いことですが、必要なことだけ抜き出して使いたいディベートにとっては、資料を要約して置いておく必要があります。

資料集があると、検索もできるしとっても楽です。

今回は「タクシー 規制」で上の方に出てきた下記の資料を例に説明していきます。

[e001]

一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会 最終アクセス日:2019.3.3

http://www.taxi-tokyo.or.jp/qa/entry.html

「2002年(平成14年)にタクシーの数量規制が廃止され、それまでの諸条件は以下のように大幅に緩和されました。

1.認可制から → 事前届出制

2.最低保持台数の緩和/60台 → 10台に

3.営業所および車庫/所有から → リースに

4.導入車両/新車から → 中古車で可に

・参入条件が大幅に緩和された結果極めて簡便に参入が可能となり、一台あたりの負担コストが激減し誰でも安直に参入できる事業となった結果短期間にタクシー車両は6,087台と大幅な増加となりました。特に、とりあえず10台規模で新規参入した事業者が経営効率向上のため、その後現在まで大幅に増車してきたのが実態であります。

・タクシーは世界の主要都市のほとんどが、総合的な都市交通政策面から捉え、何らかの形で規制政策の中にありますが、わが国では都市交通政策を無視し、市場経済における競争原理を強引に持ち込んだことで、国内各都市で乗務員賃金の減少、交通混乱など矛盾を招来するところとなっています。」

 

 

形式的なこと

[e001] 

連番を振ります。これは、私も社会人になってから覚えましたが、チームでやるなら「Aさんなら[A001]」とかなんでもいいと思いますが立論や反駁で使った時に、元の資料集にたどり着けるように、あった方がいいです。

一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会 最終アクセス日:2019.3.3

http://www.taxi-tokyo.or.jp/qa/entry.html

 これは証拠資料を引用するときに、記載しておかなければならない要件です。

詳しくはルールを参照してください。ネットなのか本なのかなどによっても違います。

全国中学・高校ディベート選手権ルール|ルール|ディベート甲子園|NADE - 全国教室ディベート連盟

 

前提と内容を切り離さない

この資料、使いたい部分は

・参入条件が大幅に緩和された結果極めて簡便に参入が可能となり、一台あたりの負担コストが激減し誰でも安直に参入できる事業となった結果短期間にタクシー車両は6,087台と大幅な増加となりました。特に、とりあえず10台規模で新規参入した事業者が経営効率向上のため、その後現在まで大幅に増車してきたのが実態であります。

だとしても、この前提になっているのは2002年の規制緩和です。

であれば、

 2002年(平成14年)にタクシーの数量規制が廃止され、それまでの諸条件は以下のように大幅に緩和されました。

 を資料集の段階で切り離してしまうと、あとで使おうと思った時になんの話か分からなくなってしまいます。よって、ここは長いですが切り離しません。

 

中略しない

上記の部分を

 「2002年(平成14年)にタクシーの数量規制が廃止され、それまでの諸条件は以下のように大幅に緩和されました。(中略)・参入条件が大幅に緩和された結果極めて簡便に参入が可能となり、一台あたりの負担コストが激減し誰でも安直に参入できる事業となった結果短期間にタクシー車両は6,087台と大幅な増加となりました。特に、とりあえず10台規模で新規参入した事業者が経営効率向上のため、その後現在まで大幅に増車してきたのが実態であります。」 

とするのはどうでしょうか。正直、こういう資料集よく見ますし、立論に使ったものを資料集にコピペするとこれはよく発生します。

ただ、中略以降の話の前提は下記の部分です。

1.認可制から → 事前届出制

2.最低保持台数の緩和/60台 → 10台に

3.営業所および車庫/所有から → リースに

4.導入車両/新車から → 中古車で可に

 なので、資料集の場合はやはり抜かない方が良いでしょう。

このようにしていくと、最初のようなちょっと長い資料集になってしまいます。

 

資料の前提がわかれば議論も深まる

質疑で「この資料はいつの規制緩和の話をしていますか」と聞かれた時、前提が書いてあれば答えられます。続けて「それはどのような規制緩和でしたか」と聞かれても答えられます。これだけで結構強いです。

そしてさらに深めることができます。「今回の規制緩和と同じですか」などです。今回とどれくらい同じような状況の話なのかわかれば、審判も「まあ100%資料通りとは行かなくてもそんな感じの状況が発生するんだな」とわかります。

 

文字カウント等で中略した状態で資料集に置いておきたいなら、前提を抜かないバージョンの次に、中略したバージョンの差分をつければいいと思います。