Doriブログ

楽しいディベートの世界の感想をなんとなく書き綴る

【ディベート超入門】テスト前の夕飯にカツカレーを食べるべきか

テスト前のカツカレーでディベートを説明しました。

SlideShareからダウンロードできるので、ご自由にご活用ください。

今回はこのスライドをちょっと補足して解説していきます。

 

ディベートは第三者を説得する議論

これの理解が最も難しいです。今回の場合は、太郎くんというジャッジを説得する、肯定側(お父さん)と否定側(お母さん)です。
実社会では否定側=ジャッジということもあるかもしれませんが。誰がこの件のジャッジなのかを探ることこそ難しい場合もあります。ですからこのディベートというのは、ある種実社会とは離れた存在なのです。だからこそ、実社会では磨けないスキルを重点的に磨くことができます。歩いているだけでは鍛えられない筋肉が筋トレで鍛えられるみたいなものですね。

現状維持という立場

前提として「いつも野菜中心の料理を食べているから野菜料理なら食材は揃っている」としたのは、否定側は最初「現状維持」という立場を取るためです。なぜ現状維持なのかというと、新たに別のプランを出したときには、そのプランのメリット・デメッリットを別途議論する必要があるからです。例えば太郎くんにはお姉さんがいて、「太郎が一番好きなのは生牡蠣だから、生牡蠣を食べた方が頑張れるよ」と言い出した場合には「牡蠣を食べるとあたるかもしれない」というそのプランに対するデメリットを、カツカレーとは独立して考えなければなりません。中高生の日本語ディベートでは、否定側は現状維持の立場しかとれません。
 

プラン導入前後の対比構造

プラン前後は対比していなければなりません。
こういう図をシステムマップと言います。
たとえば、カツカレーを食べなくて、ゲンを担げなくても、プラン後と同じ結末の「テストでいい点が取れる」になるのなら、カツカレーを食べる必要がありません。
カツカレーを食べるべきとは言えません。
このあと質疑や反駁がありますが、このシステムマップの対比構造を徹底的に突き崩していくことになります。
よく「立論時点で立っていない」「イニシャルで切られた」というのは、立論の時点でこの構造がジャッジに伝わっていなかったということです。
今起こっている問題がプランをとっても起きる、というような主張をする否定側は要注意です。それは、肯定側のメリットに対する反駁であって、否定側の示すべきデメリットではありません。実は否定側は肯定側とイーブンにしさえすれば勝てるので、肯定側を0にすれば、デメリットがなくても勝てます。しかし、それは現実的ではありません。太郎くんがカツカレーを食べた方が頑張れる可能性が少しでも残ってしまった場合には即負けとなります。頑張れる可能性と比較するための何か、それが脂っこくてお腹を壊すかもしれないというデメリットです。
 

肯定側も否定側もやる

どちらのサイドにも立つことは絶対的にお勧めします。
社会で生かすことを考えると、投資効果をずっと言い続ける人と、投資効果とリスクを考えた上で投資効果が大きいと言える人のどちらが説得力があるでしょうか。この肯定する理由を考えると同時に否定する理由を考えるというのは、ある程度訓練しないと自然には出てきません。
ぜひ両方やってみてください。
 
カツカレーシリーズ、しばらく続きます。